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Wednesday Sep 03, 2008

死神の精度9-7

 それから四日間、私は殆ど仕事と呼べるような活動はしなかった。いや、監査部から電話があるまでは藤木一恵に接触していなかったので、正確には、「ほとんど」ではなくて、「まったく」だ。

 この四日というもの、私は街中のCDショップを渡り歩き、店員から訝しげに睨まれるまで試聴機のまえでミュージックを堪能し、深夜の公園をうろつき、群れを無くしてサラリーマンを襲う若者たちを見物し、書店で音楽雑誌を一通り読み尽くしていた。

 雑誌には、先日同僚が熱をもって語っていた、「天才」プロデューサーのインタビューが掲載されていた。私は、彼の名前は知らなかったが、彼が製作したと紹介されているCDは何枚か聞いたことがあった。そのいずれもが傑作だった記憶があり、なるほど天才なのだな、と認めることにした。音楽に関することになると私は、ほとほと人間に優しい。

 そのかれの言葉の中に、「死」という文字があって、目を惹く。「俺は死ぬ前に、真の新しい才能に出会えるのを待っている」とあった。彼のゆるぎない自信というか、確固たる信念というか、そのバイタリティがうらやましいと、感じた。私は仕事を辞める予定こそないが、それでも、このプロデューサーからしみ出てくる熱のようなものは持ち合わせていない。そうか、と思った。私には欠けているのは、仕事への情熱だ。

 監査部からの電話が鳴ったとき、私は試聴機のボタンを押したところだったので、慌てて店の外に出た。

 「どうだ」とたずねてきた。彼らは、抜き打ち検査を行うがごとく、不定期に、私たちに連絡を入れ、仕事振りをチェックしてくる。

 「やっている」と曖昧に答える。我ながら、熱気もやる気も篭っていない返事だ。

 「ぎりぎりまでかかるかも」これもいつもと同じ答えだ。もちろん嘘に決まっている。「可」と書いて、提出すれば済む。けれど、私たち調査部の者はそうしないことが多い。なぜか、ミュージックを時間一杯楽しむためだ。

 「おおよそ、どんな感じだ?」相手は最後にそう尋ねた。

  こういうやり取りは、恒例行事というか、礼儀的というか、単なる手続きのようなものとなりつつある。電話を切った後、そろそろ藤木一恵に会いに行くべきかな、と考えた。

  彼女は相変わらず、決まった時間に会社から出てきた。気のせいか、前回よりも肩をすぼめているようで、それこそ死を間近に控えた者にふさわしい空気を発している。

  小雨が降る中、傘を差し、小走りに進んでいく。いつものように地下鉄駅に向かうのだろうと追ったのだが、予想に反し、彼女は地下鉄入り口を通り過ぎた。交差点を横断していった。

  有名ブランド品の販売店が並ぶ並木道を進み、猥雑なエリアにどんどん入っていく。屋根のある歩行者専用の場所で、人通りが多い。ゲームセンターや、ファーストフードの店が立ち並び、騒音まがいのけたたましい音が、空気を汚していた。

  彼女はそこで立ち止った。道の真中に設置されている、小さな噴水の近くにベンチに腰を降ろした。

  顔を下に向け、胸には女性ファッション誌を抱えているが、読む気配はない。待ち合わせだろうか、と見当てをつける。あの雑誌は見知らぬ相手と合流するための目印に思えた。

  藤木一恵に、待ち合わせをする相手がいるとは予想外だった。誰なのか。友人や知人であるのならば、あれほどびくつく必要は無いだろう。もしかすると、とそこで思いつく。例のクレーマーかもしれない。彼女はさっぱり好転しない自分の日常に嫌気が差し、それを挽回するための可能性がわずかでもあるのなら、それに賭けてみようと思ったのではないだろうか。いや、例え好転はしなくとも、変化の全く無い日々に比べれば、どんなにつらい出来事でも起こらないよりはマシだ、と決断したのかもしれない。で、変質者としか思えないクレーマーと会うことにした。充分、ありえる。

  そう思っていると、一人の中年男が大股で彼女の座っているベンチに近づいた。年齢は四十代の前半だろう。肩までの髪にパーマをかけ、色の付いためがねをかけている。中肉中背の、黒ずくめの服装で、これは堅気の商売をしている人間ではないな、と察しが着く。通行人の邪魔にならないよう、私はビルの壁に寄って、様子を窺った。

  男が、藤木一恵に声をかけた。彼女はおびえた顔で男を見たが、その瞬間、その顔には落胆の表情がはっきりと浮かんだ。

  中年男性はどう贔屓目に見ても、美男には分類できなかった。しかも、女性を幸せにするほどの財産をもっているようにも見えない。常識外れのクレーマーという欠陥を補うほどの魅力は無い、というわけだ。彼女も一目見た瞬間に、そのことを察したのだろう。

  男のほうも彼女を見て、がっかりするのではないか、と私は思っていたのだけれど当てが外れた。男性は、彼女と目が合ったときに、「なるほど」と声をあげるような雰囲気はあったものの、幻滅をあからさまにみせることは無かった。

  男は、彼女に話し掛け、町の奥へ誘導していこうとする。彼女はかなりの間、ためらっていたが、それでも最終的には男と並んで歩き始めた。 

  これはどう転んでも、幸せな展開は望めないな、と私はすでに見切りをつけ始める。

  ああやって世間知らずの女性が、不意に現れた男によって、別の日常に連れて行かれるのを、私は幾度も目撃したことがある。風俗産業に就き、あまりの過酷な労働に身体を壊した女性もいれば、借金ばかりを作り、財産を失ったものもいる。私はあまり人間の悲劇については関心を持っていないので、同情することも哀れむことも無いのだが、とにかく藤木一恵もそういう道に引きずられていくのだな、と想像できた。

  彼女たちの後ろにつづき、脇道に入る。すると二十メートルほど離れた場所で、男が藤木一恵を無理やりに引っ張っている光景が目に入った。

  男が手を引っ張る先は、カラオケ店だった。派手な電飾をつけたビルに、「カラオケ」という文字が設置されている。

  私はカラオケというものがあまり好きではない。ミュージックの試聴が無類に好きであるにもかかわらず、だ。何度か仕事の一環として、カラオケ店に入ったことはあるが、あまりの不快感に逃げ出したくなった。理由はわからないが、私の考えでは多分、ミュージックとカラオケの間には超えがたい深い溝があるのではないだろうか。どちらが優れているという問題ではなくて、私はその溝のこちら側しか楽しむことが出来ず、向こう側には近寄らないほうがいい、きっとそういうことなのだろう。

  男が、彼女を店につれていこうとする理由は推測できた。ああいう店は、中に入ってしまえば個室が用意されているし、歌を歌うことは文字とおり、「肉声」を聞かせあうことでもあるので、お互いの距離を近づけるのには、適しているのだろう。もちろん、部屋に入ったとたんに、彼女に襲いかかるつもりなのかもしれないし、単に自分がストレスを発散させたいだけなのかもしれないが、いずれにしろ、珍しいことではない。

  彼女はかなり嫌がっていた。腰をひき、しゃがみこむ寸前というところだ。傘を落としそうでもあった。

  これ以上は、私がかかわることではないように思われた。男女のトラブルを解決するのは、私の仕事ではない。引き返そうかと背を向けたのだが、ちょうどそのときに声が飛んできた。「千葉さん!助けてください!」

  はっきりとした輪郭を持った、大きな声だった。トランペットが深い響きを発するかのように、藤木一恵は名前を呼んでいた。私の名だ、と気付くのに時間がかかってしまった。

                     つづく……

  

Thursday Aug 21, 2008

死神の精度9-6

 藤木一恵に再びあったのは、二日後の夜で、やはり小雨が降っていた。職場のビルの前で持ち、自動ドアから出てきた彼女を見つけて、跡を追った。横の車道を車が通り抜け、轍に溜まった水を潮騒のような音を立て、弾いた。

 前回よりも急ぎ足だったのか、私は追いつくのに苦労をした。かなり近づいたところで手袋をつけた手を伸ばし、彼女の右肩を叩く。びくっと彼女が振り返った。眠っている猫に湯をかけたら、こうなるのではないかと思えるくらい、敏感な反応で、私のほうがたじろいでしまった。

 私の顔を見た彼女が、「ああ」と小さな声を発し、安堵の色を浮かべた。どうやら、私に怯えていたわけではないらしい。

 「実は」私は、ポケットからハンカチを取り出した。「これを返したくて」

 「え、それ、わたしの」

 「そう。この間、俺がビールをこぼした時に貸してくれただろ」

 「そ、そうでしたっけ」彼女は暗い顔で、首をひねっている。嘘だった。実際には、タクシーに乗せたときに私が、彼女のポケットから抜き取ったのだ。

 「この間は、どうもありがとうございました。私よく覚えてなくて」彼女はしどろもどろになりながら頭を下げた。

 「どうだろう、ちょっとまた話ができないか」

 彼女はきょろきょろとあたりを窺った。人目を気にしている、というよりは、警戒をしているようだったので、「まずいかな?」と遠慮をしてみる。

 「い、いえ」彼女は首を振る。「あの、実は、近くにいるかもしれないので」

 「誰が?」

 「前に言ったかもしれませんが、クレームの電話をくれるお客さんです」

 「君をご指名で、苦情を言ってくる人か?」

 「ええ」彼女の声はか細かった。「今日も電話があったんですけど、あいたい、とか言われて」

 「それは怖い」

 「近くにいるかと思って」

 というわけで私は、即座にタクシーを捕まえ、隣の街まで移動した。何て強引な、と彼女が拒絶してくるかとも思ったが、幸いそういうことはなかった。見知らぬ喫茶店に入ると、彼女はむしろ安心した様子になり、「ここなら、きっと大丈夫ですよね」と肩から力を抜いた。

 「そのクレームは気味が悪いな」わたしは、彼女に話を合わす。ぜひとも喋ってもらいたい、というほどではなかったが、彼女がどれくらいつらい毎日を送っているかが分かれば、それはそれで報告書を書く判断基準にはなるし、何よりもこうやって相手の悩みを聞きだすと、仕事をしている、という充実感を得ることができる。

 「はじめは、ビデオデッキの取り出しボタンが壊れた、という苦情だったんです」

 「もうすこし、大きな声でしゃべればいいのに」私は意識する前に、口に出していた。

 「え?」

 「小声で喋ってると暗い感じがする」そうでなくても彼女は暗い空気をまとっているので、口調くらいは明るくすべきだと思われた。

 「仕事の時は、無理して、明るい声を出してるんですけど」

 だろうな、とは思った。こんな声で話していたら、苦情主は更なるクレームを重ねかねない。

 「私のところに回されるお客さんというのは、些細なことで言いがかりをつけているような人ばかりですから、じっくり話しを聞いてあげて、ひたすらに謝るだけなんですよ。申し訳ありません申し訳ありません、の繰り返し」

 「想像しただけで、憂鬱になりそうだ」

 「最初はその人もそうだったんですけど、途中で変な感じになったんですよ。急に、『もう一度謝れ』とかいうんです」

 「もう一度?」

 「『もう一度、謝れ』って。当然、私は謝るんですけど、それを繰り返すんですよ。何度も何度も。もう一度って。最後のほうは、何か喋れ、って怒ったりして」

 「女性に謝られると、性的に興奮するタイプなのかもしれない」根拠があったわけではないが、人間の性的な嗜好の多様性については私もよく驚かされるので、無い話ではないと思った。

 彼女はうぶなのか、「性的」という単語に顔を赤らめた。「で、その日はおわったんですけど、翌日、また電話が来たんです。今度はテレビでした」

 「画面がどんどん狭くなってきて、突然、切れるって言うんです。もちろん、うちから修理に出向くって伝えるんですが、それはいいから原因を説明しろ、っていうわけです」

 「故障の原因?」

 「わたしが分かるわけ無いじゃないですか」

 「君はそういう役割ではない」

 「苦情処理ですから。そのテレビを見たわけでもないですし。それなのに、なんでもいいから話せ、と言うんです。もっと大きな声で、もっとはっきりとって」

 「キット、話の内容なんて何でもいいのかもしれない。君と喋りたいだけで」といって見せると、彼女はひどく嫌そうな顔になった。

 「次はラジカセでした」

 「ミュージック!」思わず、声をあげてしまった。自分で恥ずかしくなる。「ラジカセが壊れたのか?」と取り繕うように続けた。

 「それもきっと嘘ですよ」彼女が顔をゆがめる。「CDが取り出せなくなったとか言って、その曲を歌って聞かせるんですよ」

 「おかしいな」

 「ですよね。で、おまえはこの歌を知ってるか?歌ってみろ、とかずっと言ってくるんです」

 「修理が必要なのは、その客の頭だ。悪質だな。そして、ついに、『会いたい』とか言ってきたわけか」

 「そうなんです」彼女は力のない弱弱しい声を出すと、下を向いた。「DVDプレイヤーの故障について、くどくど文句をつけてきた後、どこかであえないかと言ってきて」

 「もしかすると、君を気に入ったのかも」

 「私を?」彼女はそのことについては予想もしていなかったらしく、驚いた。

 「君の応対に惚れ惚れしたのかもしれない」もしそうだとすると、彼女は死にたくはなくなるだろうか。

 「そんなこと」彼女は動揺し、それから少し嬉しそうな素振りも見せたが、すぐに気がつく。「そんな変な人に気に入られても、嬉しくないです」

 「だろうね」変質者に近い苦情主が、彼女を幸せにするとは思えなかったし、暗い女性とクレーマーのカップルの未来が明るいとも、考えにくかった。

 彼女は暫く黙っていた。何か話すべきだろうか、と思い悩みながら窓の外を見ると、顔をしかめた通行人が傘を差して歩いているのが目に入った。外の歩道にはところどころに水溜りが出来ていて、地面の凹凸を浮き彫りにしている。

 「最近、雨が多いですね」

 「俺が、仕事をするといつも降るんだ」私は打ち明ける。

 「雨男なんですね」と彼女は微笑んだが、私には何が愉快なのか分からなかった。けれどそこで、長年の疑問が頭に浮かんだ。「雪男ちうのもそれか」

 「え?」

 「何かするたびに、天気が雪になる男のことか?」

 彼女はまた噴出して、「可笑しいですね、それ」と手を叩いた。

 不愉快になる。真剣な発言をユーモアだと誤解されるのは、不本意だった。大体が、どのあたりが可笑しいのか、自分が理解していないものだから、次の会話に生かすこともできない。私はこういう体験が非常に多く、そのたび不快になる。

 暫く経って、彼女が「わたしの人生って一体なんでしょう」と声を洩らした。我慢していたものが、吹き零れてきたかのようで、私はどきりとする。彼女の目に、縋ってくるような色が浮かんでいた。落ち込んだ穴から這い上がれない女性が、地上を見上げて「ロープが落ちてこないかしら」と、媚びと最速のない交ぜになった声を発するのと似ていた。

 彼女はもしかすると、私に助けをを求めているのかもしれない、と思った。いいことなしで低空飛行の人生から自分を救い上げてくれるのは、目の前のこの男に違いない、と期待しているように見えたのだ。そういえば、今回の私は、なかなかに魅力的な外見をしている。これは喜ばしいことではない。残念ながら、やくには立てないし、私の仕事の範疇からは外れている。同僚の中には、どうせ来週には死んでしまう相手なのだから、せめてその短い間だけでも幸せな思いをさせてあげたい、といろいろな演出をするものもいるが、私にはそういう趣味はなかった。これから切ろうとしている髪の毛に、「せっかくだから」と装飾を施すのと同じだ。いずれ、切られることに変わりはないのだから、何をしようと意味が無い。床屋が髪の毛を救わないように、私は彼女を救わない。

                                 続く……

 

 

Monday Aug 18, 2008

死神の精度9-5

 彼女をタクシーに乗せた後で、私は深夜のアーケード街を歩いた。仕事が順調に進みそうな手ごたえを感じていたからか、足取りは軽い。もともと私の仕事は気楽なものだった。人間の姿になることと、人間と会うことを厭わなければ、少しばかりの会話をし、報告書への記入を行えば、終わる。同僚との関わりもさほどなく、現場に出てしまえば個人の考えで行動できるのだから、私には向いていた。

 CDショップに入る。深夜営業をしているCDショップは貴重なので、発見できるといつもほっとする。夜の十一時を過ぎている店内には、まばらではあっても、客がいた。するりするりと棚を通り過ぎ、試聴用の機械がならんでいる場所まで移動した。この仕事をやる上で、何が楽しみかといえば、ミュージックを聴くことをおいて他にない。

 耳に当てたヘッドフォンから、曲が流れてくる感覚は新鮮で、ぞくぞくするような感動が味わえる。実に素晴らしい。私は人間の死には興味がないが、人間が死に絶えてミュージックがなくなってしまうことだけは、つらい。

 あ、と気がついた。すでに一人の中年男性が試聴機の前で、ヘッドフォンをしているのだが、それが同僚だったのだ。

 肩を叩く。陶酔するかのように、目を瞑っていた男がはっと振り返った。ヘッドフォンを外し、「よお」と笑った。

 「おまえの担当も、このあたりなのか?」私は尋ねる。

 「ああ、今日で終わりだけどさ」

 「報告が終わったのか?それとも、見届けるのか?」

 「見届けるのが」彼は肩を上げた。「酔った帰り道に、地下鉄のホームから落ちたよ」

 私たちは一週間の調査が終わると、担当部署に結果の報告を行う。その結果が「可」である場合、いや、大半は「可」であるのだが、その翌日、つまり八日目に、「死」が実行される。私たちはその実行を見届けて、仕事を終了したことになるのだ。

 ちなみに、自分の担当した人間がどのような形で死ぬのか、事前には知らされていない。調査期間の七日間で死因が発生することもなく、たとえば、六日目で負った怪我が悪化して八日目に死亡する、というケースもないため、見届けの時が来るまで、彼らの死に方については想像がつかない。

 「戻る前に、最後の試聴か?」ヘッドフォンを指差す。

 「まあな。次はいつかわからねえしよ」かれはそういって、微笑んだ。

 私たちの仲間は、仕事の合間に時間ができると、CDショップの試聴をしていることが多い。一心不乱にヘッドフォンを耳に当て、ちっとも立ち去ろうとしない客がいたら、おそらく私か、私の同僚だろう。以前、機会があって映画を観たのだが、そこでは、「天使は図書館に集まる」と描かれていた。なるほど、彼らは図書館なのか、と感心した。私たちはCDショップだ。

 「このアルバム、最高だよ」彼はヘッドフォンを寄せ越してきた。耳に当てる。ロックともポップともつかないが、女性ボーカルが軽快に聞こえてきた。

 これはいい、とへっどフォンを返しながら、同意する。私たちは下手をすると、仕事の合間にミュージックを楽しむのではなくて、ミュージックを堪能する合間に仕事をするようなころがあるので、情報にも精通している。目の前の同僚は、少々自慢げな表情を浮かべると、「このアルバムは、プロデューサーに注目すべきなんだ」としゃべり始めた。そして、このプロデューサーがいかに天才かをとうとう話した。

 「でも、このミュージックがいいのは、歌っている女性の声やセンスがいいからだろ」と私は言い返した。「プロデューサーは関係ない」

 「そうだ。歌は声だよ。このプロデューサーもそういってる。素質と才能だ。だからこそ、だ」

 「だからこそ?」

 「この歌声は発掘してきた、このプロデューサーがすごいんだ」

 私はあいまいな返事をした。勝手な勘ぐりではあるが、彼は地道な仕事ばかりしている自分を、裏方仕事のプロデューサーと重ねあわせているのかもしてない。

 「おまえは?」彼が、私に顎を向けた。

 「今日から調査を始めた。でも幸い、簡単そうだ」藤木一恵の顔を思い出す。

 「簡単も、はじめから、『可』にするって決めてるんだろ。どうせ」

 「俺は、少しは真面目に判断するつもりなんだ。できるだけ、情報を仕入れて、正しい判断を下したいと思ってるんだ」

 「でも、結局、『可』なんだろ」

 「まあな」実際、そうなのだから、認めざるを得ない。「でも、一応、真面目に取り組んでるつもりだ」

 「一応、だろ?」

 「そう、一応だ」私は頷いて、隣にあるヘッドフォンを手にとると、頭からそれをかぶり、再生ボタンを押した。じゃあな、と手を上げて、同僚の男性は店から出て行った。

 ジャズでも、ロックでも、クラシックでも、どれであろうと、ミュージックは最高だ。聞いているだけで、私は幸せになる。多分、他の仲間も同じだろう。死神だからといって、髑髏の絵がジャケットに描かれたへウ''ィメタルしか受け付けないというわけでは、決してない。

                  つづく……

Thursday Aug 07, 2008

死神の精度9-4

 「仕事以外で、他に楽しみは?休みのときだとか」

 「休みのとき?」彼女はそんな愚問は聞いたことがない、というような顔で、「何もしてないです。家事だけ。後は、コインを投げたりもしますよ」

 彼女は酔い始めているらしい。呂律が可笑しくなり、瞼も重そうだ。

 「コインを投げる?」

 「表が出たら幸せになれる、そう思って、十円玉を投げてみるんですよ。手軽な占いです」と彼女は自嘲を通り越して、悟りを開いているかのようだった。「でも、だいたい裏ばっかり出るんですよ。で、今度は、裏が出たら幸せになる、って決めて、投げるんですけど」

 「そうすると、表が出るわけだ」

 「ええ」

 「考えすぎじゃないか」

 「五十パーセントの確率にも見放されるとなると、もう、生きる気力もなくなっちゃいますよね」彼女はぐいぐいとビールを飲み干した。「わたしなんて、いてもいなくても一緒なんだから、死んだって変わらないですよ」

 「君が死んだら、悲しむ人がたくさんいる」わたしは、おざなりに言ってみる。

 「一人はいます」身体を不安定に揺らしていた。「いつも、私を指名して、苦情を言ってくるおやじです」そして、歯を見せて、高い声で笑う。「わたし、本当に死にたいですよ。いいこと無ですから。」

 わたしたちが担当する相手は、促したわけでもないのに、「死の話」を口にすることが多い。それは、死へのおびえであったり、憧憬であったり、薀蓄であったりするのだが、とにかく鬱蒼とした藪の中から、さらなる暗黒を覗き込むような顔で、ぽつぽつと話をしてくる。

 これは、私たちの正体を、人々が無意識に察するかららしい。研修の時にそう教わった。「死神は、人間に死の予感を与える」と。

 実際、昔から、私たちの正体にうっすらと勘付く人間はいた。有る者は、「寒気が走る」と不安がり、有る者は、「近いうちに死ぬようなきがする」と明確な死の予感を書き残す。私たちの存在を敏感に察知し、占いと称して、相手に伝えるものも時々いる。

 「死にたい、なんて軽軽しく言わないほうがいい」わたしは心にもないことを口にしてみる。

 「毎日毎日、クレームの電話ばかり受けて、しかも、私生活にも明るいことが無かったら、もう生きてる理由なんてないですよ。私は、自分の人生について、クレームをつけたいですよ」気が利いているとも思えない台詞を彼女は吐いた。

 生きてる理由なんてもとからないんだ、といいたくなるのを堪える。

 「寿命っていうか、運命っていうか、そういうのってあるんですかねえ」彼女はどうやら、アルコールは強くない体質らしい。一重瞼の暗い顔が、さらにどんよりと沈んで見えてきた。情報部からのデータによれば、彼女は、男性とこのように向かい合って食事をした経験が殆ど無いはずだ。だから、その緊張と高揚で、酒を飲むペースが早いのかもしれない。

 隣のテーブルでは、中の良さそうな男女が向かい合って食事をしている。女が、「お腹いっぱいでもうたべられない」と腹をなでながら、困惑と媚の混じった表情で言うと、向かい側の男が、「いいよ、僕が食べてあげるよ」と張り切った声をだした。女が「優しいね.ありがとう」とうれしそうに礼を口にしたが、どうして食事を分け与えた側が喜んでいるのか、私には理解できなかった。

 「寿命は有るさ」意識を藤木一恵に戻し、私は答える。「ただ、誰もが寿命で死ぬとは限らないんだろうが」

 彼女はけたけたと笑った。「それ、変ですよ。死んだときがその人の寿命でしょ。寿命の前に死ぬ、なんていい方、変じゃないですか」

 「みんなが寿命で死ぬのを待っていたら、大変だ」私は、本来であればそこまで話すべきではなかったかもしれないが、彼女がすでに酩酊し始めているのが分かっていたので、つづけた.「バランスが崩れるんだ」

 「バランスって何のです?」

 「人口とか、環境とか、世界のバランスだ」と言いながらその実、私も詳細については知らない。

 「でも、人は寿命で死ぬんでしょ」

 「寿命の前に死ぬ場合もある。突発的な事故とか、思いもよらない事件とか、そういうのは寿命ではないんだ。火事とか地震とか溺死とか。そういうのは、寿命とか別に、後からきまる」

 「誰が決めるんですか?」彼女の瞼が閉じ始めた。

 「死神」と正直に答えてしまおうかと思ったけど、その呼び名は蔑称だと思うので、「神様だろうな」と言い換えた。死神にも「神」という言葉はついているのだから、あながち外れでもないはずだ。

 「うそ」彼女ははしゃぐ。「神様がいるなら、どうして私を助けてくれないんですか」幾分大きくなった声は澄んでいて、私はおや、と思った。一瞬、とても美しい声に聞こえた。「でも、神様はどういう基準で、死ぬ人を決めるんですか?」

 「それはオレもわからない」正直に答えた。実際のところ、どういう基準をもって、どういう方針に沿って、対象の人間を選び出しているのかは、私にも分からない。部署が違う。私はその部署の指示に基づいて、仕事をするにすぎない。

 「でも、そんなふうに勝手に決められて、不慮の事故とかに遭わされるのも堪らないですよね」

 「だろうね」

 「よく調べてから、決めてくれないと困りますよね」彼女は歌うような声を出すと、ばたんと音を立てて、テーブルの上に突っ伏した。

 まさにその通りだ。と私は心の中で強くうなずいていた。だからこそ私は、あなたに会いに来たんだ、と。

 調査を行い、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断し、報告をする。それが私の仕事だ。

 調査といってもたいそうなことではない。一週間前に相手に接触し、二、三度話を聞き、「可」もしくは「見送り」と書くだけでいい。しかも、その判断基準は個人の裁量に任せられているので、この調査制度は儀式的なものに近く、よほどのことがない限りは「可」の報告をすることになっている。

 ああ、死んじゃいたい。頬をテーブルにくっつけた彼女が寝言のように呟く。「明日にでも死んじゃいたい」

 私たちが調査している間は、相手の人間が死ぬことはない。自殺や病死は死神の管轄外であるため、それがいつ起きるのか私たちは、「残念ながらまだ死ねないんだ」と彼女に対して、少し申し訳ない気持ちにもなる。

 

Tuesday Jul 29, 2008

体会快乐/对抗嫉妒的方法

体会快乐的方法:

一是让快乐来和走得慢一点。激情对快乐的消耗很大,也让快乐溜走得快。节制的、清淡的愉悦感可以帮助我们更长久的保持着快乐与满足的心境。

二是提高心理对快乐的敏感。其实抑郁的人不是没有快乐而是内心失去了体验快乐的能力。当情绪压力来的时候,决定把情绪朝向快乐还是不快乐全在于我们对情绪的联想。快乐的人做积极的联想,得到快乐;不快乐的人做消极的联想,得到悲伤。

三是创造可以感受快乐的情境。快乐是专心致志去从事一项活动,或潜心于一件有回报的事情,或创造性地实现一种关系后的副产品。好奇心是快乐的必备要素,探索精神是快乐的源泉,学会去爱是快乐的动力,活在当在是快乐的保证。不可能单纯为了追求快乐而获得快乐,快乐需要付出与创造,就像农民辛劳地播种、耕作,最终才会有收获。

 

对抗嫉妒的方法:

 一是保持距离。嫉妒情绪容易发生在与你平起平坐的人、朋友、同事、邻里、兄弟、姑嫂之间,八竿子打不着的人,人们懒得去嫉妒。与他人保持心理距离和关系距离,会让对你敏感的人脱敏,失去对你的兴趣。

 二是平抑自己。在公众环境里保持一种随同性,服从社会的一般游戏规则,以此来平息人们的猜疑。但这样一来,你可能失去理的自由。

 三是通过对抗,辩解来反击,让嫉妒者自讨没趣。不过,这很容易被认为是欲盖弥彰,引起猜疑的升级。真正的反击是不予理睬。

Monday Jul 28, 2008

死神の精度9-3

 「本当に、悪ふざけじゃないんですか?」向かい合って座った彼女は、まだ半信半疑だった。声が聞き取りにくいので、私は耳を近づける。ロシア料理店のテーブルだった。気を失った彼女をどうにか起こし、まだ意識が朦朧としている隙をついて、なかば強引に店につれてきたのだ。

 「悪ふざけではない。お詫びをしたいだけで」

 「そうですか」彼女は表情の強張りをなくし、かわりにじんわりと頬を赤らめた。

 「さっきは突然、倒れたから、驚いた」まさか、私が素手で触ったからだよ、と説明するわけにも行かない。私たちが素手で触ると、人間の寿命は一年縮んでしまうのだが、だいたいが彼女は、かなりの確率で、近々なくなることになっているので、問題はないはずだ。

 「私も初めてです。身体だけは丈夫なはずなのに」

 もっとはっきりと喋ればいいのに、と本心から感じた。暗い口調は、喋っている本人はもとより、聞いている相手もげんなりとさせる。

 彼女は小さな声で、「あの、名前は?」と訊ねてきた。

 「千葉というんだ」仕事で送り込まれてくる私たちには、決まった名前がつけられている。どれも町や市の名前で、姿や年齢は毎回かわるのに、それだけは変化しない。管理上の記号のようなものなのだろう。

 「君の名前は?」

 「藤木一恵」一つの恵み、と彼女は漢字を説明してくれた。「親は、何か一つでも才能に恵まれますように、って名づけたらしいんです。可笑しいですよね」

 「可笑しい?」

 「まさか一つも取り柄がない女に育つとは、おもってもいなかったんでしょう」それは同情を誘おうというよりは、ただ単に、自分の境遇を恨み、ふて腐れているようだった。卵料理を口に含み、飲み込んだ後で、「私、醜いんです」とポツリといった。

 「みにくい?」私は本当に、聞き間違えた。目を細め、顔を遠ざけて、「いや、見やすい」と答えた。「醜くはない」

 彼女がそこで噴出す。はじめて、彼女の顔にライトが届いたかのように、一瞬ではあるが明るくなった。

 「そういう意味じゃないです。ぱっとしないってことです」

 「ああ」すぐに否定できなかった。ぱっとしない。まさにその通りだ。

 彼女が年齢を尋ねいてきたので、「二十二歳」と答える。同じ年に設定されているわけだ。

 「その割には、落ち着いて見えますね」

 「よく言われるんだ」これは事実だった。私は同僚からも、「落ち着いている」だとか、「冷たそう」だとか、そのように言われることが多い。無駄にはしゃぐのが好きではなく、喜怒哀楽を表現するのが得意ではないだけなのだが、側目からは特殊に見えるらしい。

 彼女は、自分の勤め先のことを話しはじめた。声は相変わらず聞き取りづらかったが、舌は滑らかになり始めたようだ。打ち解けてきたというよりは、ハイペースで飲むビールのせいだろう。

 大手電機メーカーの本社に勤めていると、言う。

 「一流だ。すごいな」私は精一杯、うらやましそうに言った。

 「でも、苦情処理ですよ」彼女は眉間にしわを作り、さらに可愛げのない顔になる。

 「私は、苦情処理の部署なんです。誰もやりたがらない仕事で」

 「苦情処理?」

 「お客さんからの電話を受けるんです。はじめは、別の取り合わせ窓口に繋がるんですけど、悪質な人のは私のところに電話が回されるんです。面倒くさい苦情主の専門というわけです」

 「気が滅入りそうだ」

 「ええ」彼女はそこで肩を落とし、暗い顔でうなずく。「本当に滅入ります。文句を言ったり、脅かしてきたり。そういう人との対応ばかり。気が狂いそう」

 それはちょうどよかった、と私は内心で手を叩きそうになる。「つらい毎日?」とさり気なく水を向ける。

 「いいえ」彼女はそこで首を振った。「つらすぎる毎日」

 「そんなに?」

 「私、こう見えても、電話の時はとても明るい声を出して見せるんです。相手に悪いと思って。でも、どんどん責められると、もう気持ちが沈んで」

 彼女の声は、濁った沼の表面で泡が破裂する音のような、じめじめとした小声なので、電話の時は明るい声を出す、と言われてもすぐには想像ができなかった。

 「最近は、特に、変なお客さんがいて」

 「ほお」

 「わざわざ、私を指名して、文句を言ってくるんですよ」

 「指名?」

 「苦情処理の部署には女性が五人いて、電話はその時々でランダムに繋がるんですけど、その人は私の名前を出して、電話に出させるんです」

 「ひどいな」ストーカー体質の苦情主というのは、たちが悪そうだ。

 「ひどすぎです」彼女はうなだれて、生気のない目で私を眺め、力なく微笑むと、「死にたいくらいですよ」といった。

 声を上げそうになる。君の願いはかなう。

                つづく……

 

Wednesday Jul 23, 2008

死神の精度9-2

  地下鉄の階段の手前、屋根のある部分に足を踏み入れたところで、私は傘を畳んだ。畳む前にばさばさと二、三度振って、水飛沫を弾く。付いていた泥が、前に立っていた彼女の背中に飛んだ。

  「あ」と私は声を上げる。予想していたよりも、大きい雫になった。不審そうに彼女が振り返る。

  「申し訳ない。泥が飛んで」私は頭を下げる。

  彼女は首をひねり、無造作に自分の着ているスーツを引っ張り、汚れた部分に目をやった。ベージュの生地に五百円硬貨程度の泥が付いているのを確認すると、もう一度、訝しんだ目を向けてきた。怒っているようにも見えるが、いや、当然、彼女には怒る権利はあるのだが、それ以上に戸惑っている様子でもあった。そのまま、階段を下りていこうとするので、慌てて、立ち塞がる。

  「ちょっとまってくれ。クリーニング代を出すから」と申し出た。

  詳しく確かめたわけではないが、今回の私の姿は、若い女性には魅力的な外見になっているはずだった。ファッション雑誌の男性モデルとしても通用する、二十代前半の青年だ、と情報部からは説明を受けた。彼らは調査のたびに、もっとも仕事のやりやすい人物像を導き出し、私たちの外見や年齢を決める。

  だから、私の見た目が、彼女に嫌悪感を与えたとは思いにくかったが、やはり唐突にお金の話をしたのはおかしかっただろうか。

  彼女がなにを言った。いえ結構です、だとか、もういいです、だとかそういった内容だとは把握できたが、あまりにも小さくこもる声だったので、よくは聞き取れなかった。「待ってくれ」思わず、反射的に相手の腕を掴みそうになった。すぐに手を引っ込める。

  手袋をするのを忘れていた。人間の身体に素手で触れてはいけないことになっている。触った途端に、人間は絶してしまい何かと面倒が多く、だから緊急の事態を除いて、禁止されている。規則なのだ。違反したものには、一定期間の肉体労働と、学習カリキュラムの受講が強制される。

  そんな些細な規則違反は、人間が行う煙草のポイ捨てや信号無視と同じなのだから、いちいちうるさいことを言うべきではない、と私は感じるのだが、口には出さない。抵抗を感じようとも、守らねばならぬ規則には従うべきだと思うからだ。

  「そんなに高そうなスーツに汚れをつけて、そのままにはできない」私は言う。

  「高そう、って上下で一万円ですよ」彼女がようやく聞き取れる声を発した。「嫌味ですか?」

  「そんなに安くは見えないが」実際には、充分見える。「もしそうなら、なおさらよくない。お買い得のスーツはなかなか手に入らないだろ」

  「いいですよ。こんな汚れ」彼女は暗い声を出す。「いまらさ泥の一つや二つ付いたって、変わりませんから」

  そうとも、君の人生は泥が付着した程度では変わらない。一週間後には亡くなってしまうのだし、と思ったが、口には出さなかった。

  「いや、では、こうしよう。お詫びのかわりに、食事を奢らせてくれないか」

  「は?」彼女は、いまだかつて耳にしたことのない台詞を聞いた、という顔になる。

  「いいレストランがあるんだ。一人では入れそうもないから、付き合ってくれると助かる」

  彼女が、私を睨んだ。人間というのは実に疑い深い。自分だけ馬鹿を見ることを非常に恐れていて、そのくせだまされやすく、ほとほと救いようがない。もちろん、救う気もないが。

  「他の人たちは、どこに隠れてるんですか?」彼女が棘のある言い方をした。

  「え?」

  「どこかに隠れて、みんなで笑ってるんですよね。私を、そうやってナンパするようなことをして、反応を楽しんでるわけですよね」喋る、というよりは、念仏を唱えている印象だ。

  「ナンパ?」虚を衝かれた気分だった。

  「わたし、見た目は冴えないですけど、でも、誰にも迷惑をかけてないんですから、かまわないで下さい」

  彼女が先へ行こうとする。そのとき、私は軽率にも彼女の肩を素手で掴んでいた。しまった、と思ったときには遅く、彼女は顔だけでこちらを振り返り、そして、死神の姿でも見たかのように、いや実際には見ているのだが、とにかく血の気の引いた青さめた顔になって、へなへなとその場に座り込んだ。

  後悔をしても遅い。同僚に見られなかったことを祈るだけだ。ポケットから手袋を取り出し、それを両手につけると、地面にへたり込んだ彼女を抱えて、持ち上げた。

                             つづく……

Monday Jul 21, 2008

花火見物客40人が腹痛、集団食中毒の疑い…横浜みなと祭 观看烟花者40人发生腹痛,疑似食物中毒...横滨港口庆典

7月21日8時21分配信 読売新聞  7月21日8点21分信息 读卖新闻

「横浜開港記念みなと祭 国際花火大会」に訪れた多数の観客が腹痛を訴え、病院に搬送されていたことが分かった。

观看"纪念横滨开港庆典 国际烟花大会"的大多数观客因腹痛被送往医院。

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小説連載「死神の精度」9-1

死神たちはミュージックに夢中だが、もちろん人間には興味がない。

だが、今日も人の死を見定めにやってくる。

なぜか、

それが彼らの仕事だからだ。

[阅读全文]

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